2014年7月8日火曜日

弁護士の中嶋です。

今年も上半期が終わりましたが、「アナと雪の女王」のブームは、すごかったですね。

東京銀座の中央通りを歩いていた時、人だかりが出来ているので、何かと思ったら、単にアナと雪の女王の主題歌『Let it go 』のビデオクリップが流れているだけでした。

「ありのままの姿見せるのよ」
「ありのままの自分になるの」
「何も怖くない 風よ吹け」
「少しも寒くないわ」

と歌い上げながら雪山を駆け上がっていく有名なシーンです。

youtubeで、無料でいつでも見られる映像を、多くの人が立ち止まって見入っていたのです。
すごい人気だと驚いたものです。

メディアで「アナと雪の女王」が大々的に取り上げられる一方で、就職活動で苦労する学生を描く東京ガスのCMが、リアルすぎて心が痛むとの実際の就活生の指摘を受けて、放映が打ち切られていたそうです。

私は、今の日本においてメディアで取り上げられるべきものは、むしろ後者の東京ガスのCMだと思っています。

これらの作品とは無関係に論じられているものですが、評論家の内田樹氏の指摘を引用しておきます。

『僕たちにとって喫緊の課題は、妄想的に構築された「ほんとうの私」に主体の座を明け渡さず、生身の、具体的な生活のうちに深く捉えられた、あまりぱっとしない「正味の自分」をこそ主体としてあくまで維持し続けることなのです。しかし、そのぱっとしない「正味の自分」を現代日本のメディアは全力を挙げて拒否し、それを幻想的な「ほんとうの自分」と置き換えよと僕たちに促し続けている。』

(内田樹『呪いの時代』(新潮社2011)30頁)

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